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ビスフォスフォネート剤と顎骨壊死について

ビスフォスフォネート系薬剤(以下BP)は骨粗しょう症や癌の骨転移などに対し非常に有効な治療薬で多くの方々に使用されています。しかし、最近、BP使用経験のある方が抜歯などの顎骨に刺激が加わる治療を受けると顎骨壊死が発生する場合があることがわかってきました。最新の海外の調査(JADA,2009)では、抜歯を行なった場合、骨粗しょう症でBPを内服している患者さんでは4%の方に顎骨壊死が生じたと報告されています。(他の報告では悪性腫瘍でBPの注射を受けている患者さんの方が顎骨壊死の確率は高く7%〜9%と報告されています)顎骨が壊死すると、歯肉腫脹・疼痛・排膿・歯の動揺・顎骨の露出などが生じます。
一般の歯科治療(歯石除去、虫歯治療、義歯作製など)で顎骨壊死が生ずることは少なく、発生リスクが高い治療は、抜歯・インプラント手術・歯周外科などの骨への侵襲を伴う外科的処置です。BP長期使用、癌化学療法、顎骨への放射線治療、ステロイド薬、糖尿病、喫煙、飲酒、口腔内の不衛生などによっても顎骨壊死の発生率は増加するといわれています。
以上のことから、当科では、BPの内服中もしくは服用経験のある方に対しては、担当(処方)医との連携の下、以下の方針で歯科治療および口腔外科手術を行い顎骨壊死の予防に努めます。

1.歯石除去・虫歯治療・義歯作成など顎骨に侵襲がおよばない一般の歯科治療
顎骨や歯肉への侵襲を極力避けるよう注意して歯科治療を行ないます。治療後も義歯などにより歯槽部粘膜の傷から顎骨壊死が発症する場合もありますので、定期的に口腔内診査を行ないます。

2.抜歯・歯科インプラント・歯周外科など顎骨に侵襲がおよぶ治療
1)内服期間が3年未満でステロイド薬を併用している場合、あるいは内服期間が3年以上の場合は、BP内服中止可能であれば手術前少なくとも3か月間はBPの内服を中止し、手術後も骨の治癒傾向を認めるまではBPは休薬していただきます。
2)顎骨壊死の危険因子(糖尿病、喫煙、飲酒、癌化学療法など)を有する方もBP内服が中止可能であれば手術前少なくとも3か月間はBPの内服を中止し、手術後も骨の治癒傾向を認めるまではBPは休薬していただきます。
3)BP内服期間が3年未満で危険因子のない方に対しては、通常のごとく口腔外科手術やインプラント手術を行ないます。

なお、BPの休薬・再開などについては、担当(処方)医師と充分相談の上決定し顎骨壊死の発生予防に努めますが、上記の処置方針に従ったとしても顎骨壊死が生じる危険性があります。           

ビスフォスフォネート系薬剤 Bisphosphonates
エチドロネートetidronate (Didronel), パミドロネートpamidronate (アレディアAredia), アレンドロネートalendronate (Fosamax), リセドロネートrisedronate (Actonel), ゾレドロネートzoledronate (ゾメタZometa), イバンドロネートibandronate (Boniva)